アドラー心理学

アルフレッド・アドラー(1870〜1937)が創始した心理学。
アドラーは「個人心理学」と称しましたが、現在では名前をとって「アドラー心理学」とよばれています。
一口にアドラー心理学を語るのはとても難しいのですが、
「どう生きていけば良いか」
の軸や方向性を私たち生きる者に残してくれた学問です。

【特徴】
●人間の悩みは「全て対人関係の悩み」である
●「縦の関係」でなく、「横の関係」
●「原因論」ではなく「目的論」
●対人関係のゴールは共同体感覚
●勇気づけで自己肯定感を高める

人間の悩みは「全て対人関係の悩み」である

アドラーは、人間の悩みは全て対人関係の悩みであると言っています。

これを紐解くならば、我々の日々の生活の中で意識も行動も言葉も全て誰か相手がいるということです。
無意識でありながら、その他の人の間で自分が何らかの反応や答えを求めて生きているため、自分が思う反応と異なると違和感を感じたり、「私とは違う」と心のシャッターをおろしてしまったり。
私たちは、家庭でも、学校でも、職場でも、社会でもありとあらゆるシーンで【人の間】に生きています。
この捉え方を変えることで、「どう生きれば良いか」という答えが自分の中で見えてくるというのがこのアドラー心理学のベースになります。

アドラーは、対人関係を軸とし、距離と深さを表す「人生のタスク」として以下3点をあげています。常にこの3つのタスクに向き合いながら、私たちは生活をしているということです。
①仕事のタスク

3つのうちで一番ハードルが低いタスク。成果というわかりやすい共通の目標があるため、少々気が合わなくとも協力関係が築ける。

②交友のタスク
仕事を離れたもっと広義な友人関係。強制力がないため、踏み出すのも深めるのmも難しい。

③愛のタスク
この3つのタスクにおいて、一番難しいと言われている。親子関係、夫婦関係、恋愛関係。アドラー心理学では「相手を束縛することは認めない」
相手が幸せそうにしている姿を素直に祝福できること。

縦の関係ではなく、横の関係

アドラー心理学を考える上で、教育や子育てがこの心理学の中心として位置付けられていると言って過言ではないと思います。
アドラーが生きていた時代に「親も教師も権威で子どもを従わせようとしない考え方」をしているということです。
つい、親や教師は子どもを「教え込む」「上から見ている」ことが教育であると思いがちです。しかし、アドラーは、育児の行動面の目標として、以下の2点を掲げています。
①自立する
②社会と調和して暮らせる


また、それを支える心理面の目標として、
①私には能力がある
②人々は私の仲間である

といういう目標を掲げています。

日本の長い教育制度の中で、また競争社会の中で「教育」「恐育」が当たり前にでありその中で育ってきた今の私たち大人がいます。
22世紀に生きる子どもたちには上記のような考え方を身につけ、自分たちの夢や未来に向かって羽ばたいてほしいと願います。


「原因論」ではなく「目的論」

アドラー心理学では、過去に縛られる原因論ではなく、未来に向かう「目的論」が土台となります。

【原因論】
「人前で話すのが苦手なのは、みんなの前で話をした時にからかわれたことがあるから」

【目的論】
「人前で話さないのは、人前で恥を書きたくないという理由から、苦手だということで自分を肯定しようとしている」
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【原因論】
「試験前にお腹が痛くなってテストに集中できない」

【目的論】
「テスト結果に自信がないから、お腹が痛いことを理由とし、自分を肯定しようとしている」
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アドラー心理学は、このような「原因」があるから、「できない」という考え方ではなく、目的があるからそうなるという考え方です。

目的論をベースにすると、過去やトラウマに縛られることがないため、「じゃあ自分はこうしよう!」と決めることで、自分不安からの脱却をすることができるようになります。

対人関係のゴールは共同体感覚

対人関係が全ての悩みというように、私たちは様々な悩みの中で生きています。
それを全クリアするのは本当に難しいのですが、「私のことを理解してくれない」「あの人は敵」などというのではなく、他者はみんな「仲間」であるのです。
私たちはたくさんの仲間に囲まれて生活をしており、「他者を仲間であると位置付けて、そこに自分の居場所がある」と感じられることが「共同体感覚」となります。
横の関係で相手と向き合い、幸福なる対人関係を築くには、まず「ありのままの自分を認めて、自分を好きになる」これがベースでなければ共同体感覚に至るのは難しくなります。だからこそ、「目的論」に即して、しなやかな心で自分らしく生きることに「OK」を出し、自己肯定感を高めることが大事になるということです。

自分の常識は「人の非常識」。
「そうなんだ、そんな考え方もあるのか」「へー、そうなのね」
常に、自分のメガネで相手や物事をみて「好き」「嫌い」「良い」「悪い」を判断するのではなく、横の関係で相手との関係を築けるようになっていくと対人関係においても感情の起伏を抑えることができるようになります。

勇気づけで自己肯定感を高める

アドラー心理学では「勇気づけ」というアプローチをします。
褒めるのでも、叱るのでもないアプローチ。
親や教師がよく口にする言葉である「頑張って!」という言葉かけも時には勇気づけになるかもしれません。

何かの課題、何かの困難な状況の時に、そこに立ち向かうには「勇気」が必要です。自分の力で「やってみよう」「失敗してもいいからやってみたい」そう考えて一歩を踏み出せるような横の関係がベースとなった後押し。

褒められることも「勇気づけ」になるかもしれませんが、人から褒められるために行動することはその人の未来の力になるでしょうか?
他人のために生きるのではなく、「自分のために生きる」。
褒められることが目的になるのでなく、「自分が決めたこと、行動したことにこそ価値がある」という目的であれば、どんな大きな課題にも自らチャレンジしていくことができます。

横の関係で「勇気づけ」をサポートすることで、自己肯定感は高まっていくということがお判りいただけるのではないでしょうか。